2022年6月 デジタル人材 副業・複業採用決定者数レポート

久松剛 2022年6月13日

久松剛

目次

デジタル人材の働き方として副業・複業が一般化しています。2020年度と2021年度のデータを振り返りながら、複業・複業人材の動向とその採用のヒントを紹介していきます。

調査対象:Offers採用決定者 調査期間:2020年4月1日~2022年3月31日

採用決定者数推移 採用決定者数は2020年度比で3倍に

採用決定者数推移

2020年度(2020-1Q-4Q)と2021年度(2021-1Q-4Q)の年間採用決定者数を比較すると、約3倍の採用決定者数増加が見られます。コロナ禍の影響でフルリモートワークが本業・副業ともに一般化した他、企業側の受け入れが進んでいることも影響しており、まさに2021年度は副業・複業元年と呼べるほどの採用決定者数の伸びであるといえます。

プログラミング言語別採用決定者数推移

プログラミング言語別採用決定者数推移

一般的な派遣会社や人材紹介会社の発表資料ではJavaやPHP経験者が多く登録されている傾向にあります。しかしWebサービスに正社員として在籍をしていたり、フリーランスとして契約している人材が多く登録しているOffersではReact.jsやVue.jsを含むJavaScript、TypeScript、Python、Go、Rubyといったモダン言語の採用決定者数が上位5種を占めます。これらのモダン言語はベンチャーを中心とした自社サービスでの採用例が多い一方で、正社員採用の求人倍率が高く、経験者採用がしにくいスキルセットとなっています。そのためまずは副業人材から契約を始め、双方合意の上で正社員化を進めるといったことを検討することをお勧めします。

多くの言語において前年度比2倍以上の採用決定者数が確認されます。特にTypeScriptについては約3倍の伸びが確認されており、TypeScriptの人気が伺えます。また、絶対数は少ないものの前年度比3倍を記録している言語としてはReact Nativeが存在しています。今後の動向に注目が集まります。

フレームワーク・ライブラリ・ランタイム等別採用決定者数推移

フレームワーク・ライブラリ・ランタイム等別採用決定者数推移

JavaScriptの技術選定においてReactとVue.jsのどちらを採用するかというのは大きな論点となります。Offersの採用決定者数上ではどちらも拮抗していると言えます。一方伝統的なjQueryは2021年度においてはReactやVue.jsと比較すると約2倍以上の差がついた結果になりました。

サーバサイドについては副業人材はNode.js、Ruby on Railsが拮抗しており、そこから約2倍の差をつけてLaravelが続いています。プログラミング言語同様、流行の経験者エンジニアを探すには副業人材を選択肢に加えることをお勧めします。

スキル別インフラ人材の採用決定者数推移

スキル別インフラ人材の採用決定者数推移

インフラ人材についてもクラウド環境に対応した人材の成約数が目立ちます。2021年度のAWS人材においては前年度比1.9倍、Docker人材については2.4倍、GCPについては2.6倍の成約がなされています。また、TerraformやKubernetesといった経験者の成約数も顕著な伸びを記録しており、コンテナやIaCといったモダンなインフラスキルについても副業人材で契約に至ることができる可能性があります。

スキル別デザイン人材の採用決定者数推移

スキル別デザイン人材の採用決定者数推移

デザイン人材についてはベーススキルとしてのHTML/CSSが安定的に伸びている他、UI/UXの採用決定者数が2020年度比でそれぞれ2倍強となっており、需要の高まりが感じられます。

スキル別AI・DS人材の採用決定者数推移

スキル別AI・DS人材の採用決定者数推移

前年度比採用決定者数が大きく拡大している領域がAI・DS人材です。機械学習・AI領域の需要拡大だけでなく、その前段階としてのデータ分析スキルが強く求められています。スタートアップやDXに関連しての投資の活性化だけでなく、しっかりとした知識と経験を持った人材の引き合いが強く、正社員採用の難易度が非常に高いことから、正社員AI・DS人材として活躍している方を副業・複業で受け入れるという流れが産まれています。

副業・複業人材契約のポイント

求人倍率が高く、転職顕在層がレッドオーシャン化している正社員採用市場に対し、正社員としての籍を置きながら経験を追加する形で参加する副業・複業では転職市場にはないスキルセットの人材が多く見られます。リモートワークの浸透や、副業解禁する企業の増加に伴い、採用決定者数も右肩上がりとなっています。お試し転職としての位置づけを取る候補者や、副業人材受入企業も登場しています。自社の副業人材受け入れ体制を整えつつ、IT人材確保の一つの選択肢として取り入れていきましょう。


この記事をシェアする